へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「校長先生‼なんとかしてその龍を探せませんか⁉ルキの記憶を戻してもらえるよう直接交渉したいんです!」
ルキが故郷に帰ってしまうのは、やっぱり寂しいし嫌だけれど。
ルキは私の命の恩人でありながら、心の底から好きだって想える人。
だからルキが記憶を取り戻せば、私とは離れ離れになってしまうとわかっていても、それでも私は協力をしたい。
ルキが住み慣れた町に戻って笑顔で暮らせるように。
大切な人のもとに帰れるように。
必死に「ルキの力になりたい」と校長先生に訴えてみたけれど、校長先生は首を縦に振ることはなかった。
「残念だけど……龍を探すのは難しいでしょう。さっきも話したとおり、あの龍は自由に変身ができるの。龍ではない何かに変身していたら、絶対に見つけられないわ」
「あっ……そっかぁ。そうですよね…すみません」
龍の創作主であるレックスさんですら、この10年間龍を見つけることができなかったんだ。
それはつまり、校長先生が言うように龍は何か別の生き物に姿を変えてどこかに身を潜めているのかもしれない。
そう思うと、やっぱり龍を見つけることは無理だと思った。
「でも、ルキの記憶を奪った犯人がわかっただけでも進展です。校長先生、話してくれてありがとうございます」