へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
すぐ後ろを振り返り見ると、少年は困惑を示しながらも手を振り払うことはせず、私の後をちゃんと追ってきてくれている。
そんな中で私も少年も、森の出口を目指して懸命に足を動かした。
枯れ葉を踏む乾いた音と、木々がざわざわと葉を踊らせる音に混ざり、ぽつりと呟くように少年が問いかけてきた。
「どうしてキミは俺を助けようとするんだ?」
「どうしてって?あなたが困ってるかなって思ったからだよ。だから助けたいの、そんなの当たり前のことだよ」
「そうか。キミは優しいんだね」
「優しいってそんな…。っていうか、あなただって私を魔獣から助けてくれたじゃんか!だから私も、あなたのことを助けてあげたいんだよ!」
だから、おあいこだよ!と付け加えると、少年は苦笑を浮かべながら「それは違う」と首を横に振った。
「俺がキミを助けることは当たり前だけど、君が俺を助けることは当たり前なんかじゃない。おかしいことだ」
「おかしい……?どうしてそんなことを言うの?」
「俺は誰かに助けられてもらえるような、そんな贅沢な立場じゃない。尽くすことこそが当たり前で、尽くされることには慣れてないんだ」