へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


ルキに「よしよし、泣かないで」と小さな子どものように頭を撫でられたことで、頬を伝う涙がより一層量を増す。



「うぅぅっ……ルキぃっ‼」



まるで水の中にいるかのようにぐらぐらと揺らいだ視界の中で、優しく笑いかけてくれるルキの胸の中に飛び込んだ。



「レックスさんだったのっ‼パパとママを殺したのはレックスさんだった‼魔獣の力を試したいからって、それで適当に人を殺してこいって魔獣に言ったんだって……っ‼」



狂ったように声をあげてなく私を、ルキは背中に両手を回してそっと抱きしめ返してくれた。



「これ以上のことはなにも言わなくてもいいよ」



涙でぐしゃぐしゃになった顔をあげると、ルキは悲しそうな顔で私を見下ろしていた。

「もう何も言わなくていい。全部わかってるから」と私の頭に手を置いたルキの、銀色の瞳もまた潤んでいるように見える。



「全部わかってる……?」



ルキは悲しげに微笑むと、小さく頷いた。



「うん。昨晩、レックスさんに頭に触れられたとき……何もかもを思い出したんだ」



両肩を掴まれたかと思うと軽い力で押され、身体をそっとルキから離されたあと、しゃがんだまま真正面から見つめ合う形になった。



「えっ……思い出したって……なにを?」

「メイベルのご両親を殺した魔獣は俺なんだ」

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