へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


ルキは自分で自分の記憶を消し、もう二度と思い出すことはないようにしっかり防衛魔法で蓋をしたにも関わらず、それでもやっぱり私たち家族のことを忘れることができなかった。



それはつまりルキの心の中にある、強すぎる後悔の念が強力な防衛魔法を壊してしまったのだろう。

それほどまでにルキは悔やんでいたんだ。



パパとママがいないこの10年間、すごく悲しかったし辛かった。

未だに夜も眠れないほど胸が苦しくなるときだってある。



でも、そんな思いを抱いていたのはルキも同じだったんだ。

指示とはいえ、パパとママを死なせてしまった罪悪感とずっと戦っていたんだ。

ルキも悲しくて辛くて、苦しくてたまらなかったんだ。



心が壊れてしまうほどに自分を責めて責めて、責めぬいて。

精神がズタボロになってしまったときに、あまりにも辛かったから自分で自分の記憶を消してしまった。



そんなルキの気持ちを思うと、胸がぎゅっと締め付けられるように痛くなる。



「……ルキっ‼私も早く森に行かなきゃ‼」



ルキも辛かったんだよね、苦しかったんだよねって抱きしめたい。

パパとママを殺してしまったことに後悔をしているのなら、死をもって償うなんか言わないで、そのぶん生きてほしい。



それでもやっぱり私はルキのことが好きだから。

ルキが魔獣だったとしても、私はどうしてもルキを嫌いになんてなれないから。



その思いを伝えなきゃと思った私は、森に向かって走り出した。

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