へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「ピピーッ‼」
草むらの中から飛び出して来たのは、なんと驚いたことにピーちゃんだった。
「ぎゃあっ‼……って、ピーちゃん?どうしてピーちゃんがこんなところにいるの⁉」
私がなかなか戻らないから、もしかして探しに来てくれた?
それにしても、どうして私が森の中にいることがわかったのだろう。
凶暴な魔獣じゃなくて良かったと胸を撫でおろしながら、足元で私を見上げているピーちゃんを両手ですくいあげた。
「すごいね、ピーちゃん。よく私がいる場所がわかったね」
「ピピ‼ピピ‼」
ピーちゃんは「鼻‼鼻‼」とでも言っているのか、前足で自分の小さな黒い鼻をぽんぽんと叩いている。
「そっか、匂いを辿ってきてくれたんだ。わざわざありがとう、ピーちゃん」
ピーちゃんはいつものように私の足をよじ登り右肩に座ると「ピピーッ‼」と高い鳴き声を響かせ、そのまんまるな可愛い瞳からカッと光を放った。
「うわぁっ、すごい‼松明なんかよりもぜんぜん明るい!」
ピーちゃんの瞳から放たれる光は、懐中時計を2つ並べてつかっているかのような明るい光。
松明の心もとない明かりよりも、断然足元が見やすくなったし遠くも見えるようになった。
「よし、これならいけるっ‼ピーちゃん、ルキの匂いを辿ってみてくれない?」
「ピピーッ‼」
わかったとばかりに頷いたピーちゃんは、するりと私の肩をおりて枯れ葉に埋もれながら着地し、跳ねるように私の前を駆け出した。