へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


ピーちゃんの瞳の光に映された小さな人影は、顔を俯けて眠っているのか、明るい光に照らされているにも関わらず私たちの存在には気付いていないようだ。



「何だろう……あそこで眠っている子は魔獣なの?それともただの迷子…?」



顔はわからないけれど髪が短いから、私の目には幼い男の子のように見える。

ちょうど小屋の前にいるということは、もしかして秘密のアトリエを守らせるためにレックスさんがつくった魔獣?



でももし、あの男の子がもし人間で迷子だとすればこんな危険な森に放っておくことはできない。

こうやって男の子が魔獣か人間か悩んでいる間にも、魔獣に襲われてしまうかもしれない。



「ピーちゃん……いい?ここにいてくれない?やっぱりあの男の子が心配だから見てくるよ」



ごくりと息をのみこみ立ち上がると、ピーちゃんが「行くな!」とでも言っているかのように首をぶんぶんと横に振った。



「え?どうしたのピーちゃん?もしかして、あの男の子は魔獣だって言いたいの?」

「ピー‼ピー‼」



ピーちゃんがこくこくと頷いているから、あの男の子は本当に魔獣?

人間の私には男の子が魔獣なのか人なのか判断ができないけれど、魔獣のピーちゃんからすれば男の子から禍々しい気を感じ取ってしまったのかもしれないな。



「じゃあ男の子がまだ眠っている間に、あのアトリエから離れなきゃ」



男の子が魔獣というのなら、きっと私たちに襲いかかってくるに違いない。
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