へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


男の子に変身したピーちゃんは驚く私を見て笑いながら「うん、メイベルは今僕とシンクロしてるからね」と、急に私とピーちゃんが会話ができるようになった理由を説明しはじめた。



「僕はシンクロっていう特別な魔法が使えるんだ。一時的に僕とメイベルを同時化させたんだよ」



ピーちゃんが言っていることはつまり、今の私は男の子に変身をしたピーちゃんと、まるでコピーをしたように同じ状態になっているということか。

だから私はピーちゃんと同じ男の子に変身してしまったり、空っぽに近い魔力が休息をとったわけでもないのに一気に高まってくる感覚があったのか。



「あっ……なるほど。シンクロしているからピーちゃんとテレパシーで会話ができるんだ?」

「そうだよ。今メイベルは、人間じゃなくて魔獣ってことだからね。なんなら、僕以外の魔獣とも話せるよ」

「魔獣同士だったらテレパシーで話せるだなんてびっくりだよ…。学校でも習わなかったな…」



嘘だと思うなら、小屋の前で見張りをサボっている男の子のような魔獣に声をかけてごらんよ。

と再び懐中電灯のような明かりを瞳から放ったピーちゃんに言われ、その光を頼りに男の子が眠る小屋の前まで歩いていく。



本当に魔獣と話せるのかな。

襲われたりしないのかな。



そんな不安がある中で、扉の前で顔を俯け眠りこけている魔獣に恐る恐る声をかけてみた。



「おっ……おおおいっ、お前は見張りをサボってばかりだから、レックス様から見張り役は解雇だって伝言だぞ」



それは、ピーちゃんから「話しかけるならこう言ってみて」と教えてもらった言葉だった。
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