へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「ああ、そうだよメイベル。実はこの白龍だけは、俺の友達としてつくった魔獣なんだ。クラスメイトから避けられてた俺には、話し相手なんかいなかったからな。でもそれはもう10年も前の話しだ」
白龍をつくった当時は、朝から晩まで他愛もない話しをした。
一緒に釣りにでかけたりもした。
だがそんな平凡な日々を送る一方で、白龍が持つまぼろしの魔法を使えば、俺がこの国の……いや、世界中の首謀者になれるんじゃないかって思うようになった。
レックスさんがそんな話しをしてくれて、私はパパとママが殺されてしまった夜のことを思いだした。
だからレックスさんは、ルキの力を試そうとした。
世界を牛耳ることができるほどの力量があるのかを見たいがために、私のパパとママを襲わせたんだ。
「レックスさん……お願いだからもうやめて。校長先生だって今のレックスさんを見たらきっと悲しむよ」
「……知るか、そんなもん‼」
レックスさんは私が校長先生と口にした瞬間に顔を曇らせ、荒々しい声を響かせた。
怒りをあらわにするレックスさんのルキの首を掴む手から、バチバチと音をたてながら青い電流が放たれた。
「あああああっ……‼」
レックスさんの手から放たれた電流が、ルキの身体を容赦なく痛めつける。
「あはははは!おい白龍、間違っても俺に反撃なんかするんじゃねぇぞ?反撃をした瞬間、大切なメイベルは灰になるからな」
「わっ……わかってる‼」
ルキは全身をめぐる青白い電流に身体をびくびくさせながら、苦痛に表情を歪めている。
「ルキーっ‼」
炎の中から飛び出すこともできない私は、泣き叫ぶことしかできなかった。