へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
そのとき、身体の奥底から、熱い何かが湧き水のように溢れてくる感覚に襲われた。
「あれ……なんだろう、魔力が高まってくる…」
ろくに休息もとっていないのに、ほとんど残されていなかった魔力がどんどん膨れ上がってくる。
疲れきっていて重かった身体が一気に軽くなる。
悶絶するほどの痛みを放っていた太ももだって、まるで何事もなかったように痛みが消えていく。
力がみなぎってくる。
炎の真ん中で両足をしっかりと地につけ、ルキに電流を放ち続けるレックスさんを睨みつけた。
「ルキを離せーっ‼」
高まった魔力を一気に放出させると、あたり一帯は私の全身から放たれる白い光に覆われる。
咄嗟のことだったから、魔法のイメージはなにもできていない。
とにかく、ルキを助けなきゃと無我夢中だった。
すると、私の全身から放たれる白い光を浴びたせいなのか、私を取り囲んでいた炎が消えていく。
「なに……?この力は…?」
その周りをさらに囲んでいた40体の魔獣も、あとかたもなく消えていく。
「なっ……なんだこれは⁉魔法か⁉」
私が放つ眩耀と、いきなり炎や魔獣が消えてしまったことに驚き戸惑っているレックスさんの手からも、青い電流が消えた。