へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「メイベル……お前いったい何をしたんだ‼」
レックスさんの怒号に驚きびくりと肩が揺れる。
「咄嗟のことで……わからない。私……ルキを消してしまったの…?」
レックスさんが「白龍はどうした⁉」と般若のように顔をしかめながら、両足をガクガク震わせている私に向かって怒り心頭に歩いてくる。
「お前が変な光を出したせいで、白龍は俺の手から消えたんだ‼白龍を今すぐ出せっ‼」
「そんな……私がルキを…?」
私の胸ぐらをねじりあげて激昂するレックスさんの顔が、瞳いっぱいに溜まった涙でぐらぐら歪んでいる。
私がルキを消してしまった。
私の手で、ルキを消してしまったんだ。
うわ言のように「ルキ…ルキ…」と呟く私の胸ぐらを、力任せに揺さぶるレックスさんの目は血走っていた。
「やっと白龍を見つけたっつーのに‼クソッタレが!今すぐお前をぶっ殺してやりたいくらいムカつくけど、なぜだか魔法がつかえねぇっ…」
レックスさんは「早く白龍を出せ」と狂ったように叫びながら、私の胸ぐらから離した手で首を掴んできた。
「ううっ……い、息がっ…‼」
「白龍を出せ‼今すぐ出すなら離してやるっ‼」
レックスさんの筋肉質な両手で首がぎりぎりと締め上げられるにつれ、呼吸が苦しくなってきた。
喉が圧迫されているせいか「やめて」と声を出すこともできなくて、地面から浮き上がった両足をバタバタさせて必死に抵抗をする。
「早く出せ‼白龍をどこへやった!」
それでもレックスさんは首を掴む手に力をこめるばかりで、抵抗していた私もだんだんと意識が遠のいてきた。