へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


ライザは「重たい」とかってぶつぶつ洩らしながらも、暗い森の中を私をおぶって歩きはじめた。



「つーかなんでこんな森になんか入って行ったりしたんだよ。転校生がどうのって……」

「えっ?あー……それは…」



レックスさんを殺すと言った、龍の姿をしたルキを追いかけた。

……なんて言えるはずもなく。



「私の肩に乗っているこの子!ピーちゃんを探していたの!」



と、冷汗をかきながら咄嗟に誤魔化した。

すると「なんでレックスさんに襲われたんだ」と聞かれたから「秘密のアトリエの屋根を壊してしまったから」とさらに嘘を重ねた。



ライザは「だからって首を締めたりするか?狂ってるな、あのオッサン」と深いため息を吐いた。



私をピンチから救ってくれたライザを騙すのは心苦しいけれど…。

ルキが魔獣だってことは、絶対に言わないようにしなきゃ。



なんとなくだけど、ルキはきっとまた戻って来ると思うから。

クラスメイトに魔獣だと知られて怖がられたりしないよう、ルキの正体は親友のエイミーにも言わないつもりだ。



「ピーって、そのちっこいウサギの魔獣か。お前、その魔獣どうしたんだよ。お前みたいなへなちょこが魔獣なんかつくれないだろ」

「この子は……ルキが私のためにつくってくれたの」



ルキの優しい笑顔を思いだすと、涙を我慢することができなくなった。

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