へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
校長先生には、すべてを話した。
ルキの正体は、実はレックスさんが探していた話せる龍の魔獣だったということ。
レックスさんはそんなルキに指示をだし、私の両親を死なせてしまったこと。
レックスさんが人を襲う凶暴な魔獣をつくり続けていたことも、弱者を排除して強者だけの世界をつくりたいという野望も。
ルキが、私のかわりに両親の仇を討つと、レックスさんを殺そうとしたこと。
私はレックスさんを魔導警察に突き出してやるために、たたかうことを選んだということ。
そして、私がレックスさんの魔法を封じたことで、ルキが消えてしまったということも。
そのすべてを話し終えたときには、私も校長先生も泣いていた。
「ごめんなさい…」
校長先生はハンドルを握りながら、なんどもなんどもそう呟いた。
「いいえ…校長先生は何も悪くないですから。そんなに謝らないでください」
「それでも私はあの子の母親だから…」
だから知らんぷりはできないんだって。
ご両親のこともあなたのことも、傷つけてしまって本当にごめんなさい、と。
校長先生は頭を下げ続けた。
いくら私が「校長先生を責めてるわけじゃないんです!」や「もう謝らないでください!」と必死に慰めようとしたけれど、校長先生は涙ながらにひたすら「ごめんなさい」を繰り返していた。
その3日後の全校集会の朝。
体育館の壇上にあがったカサエル先生の口から「ヴィクトル校長先生は、急な事情があり退職しました」と知らされた。