へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
やったー!なんて大声で叫びながら、躍りだしたい衝動を抑えつつ。
努めて冷静にソファーに座り直し、凛とした表情を貼り付けて、隣に座るルキの横顔を見た。
「良かったね、ルキ。これで学生寮っていう新たな家ができたからもう安心だよ。それにルキのことを調べてくれるって、本当に良かったぁ」
それよりも、これからもルキと一緒にいられる。
私にとってはそれが何よりも嬉しい。
「うん、そうだね。ここで生活をしながら、俺も俺自身のことを調べてみるよ。ありがとう、メイベル。校長先生」
こうしてルキは、校長先生の許可を得て今日からフォルスティア学園の生徒として、私たち魔法使いと一緒に生活を送ることとなった。
ルキは自分の誕生日どころか年齢すらも分からないから、とりあえず私と同じ16歳として1年生のクラスで過ごすことに決まった。
「そういえばあなた、ルキって素敵な呼び名があるみたいだけれど姓がないといろいろと不便よねぇ」
校長先生はほんの少しの間ああでもないこうでもないと悩みながら、結果的に自らの名前、レジナ・ヴィクトルから『ヴィクトル』という姓をルキへ授けてくれた。
校長先生の親戚の子、という形でルキ・ヴィクトルとして入学することになった。