へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「ルキ。なんだかとても不思議なんだけど、何故だかあなたから懐かしい感じがするの。だから私とあなたは、祖先を辿ればもしかしたらどこかで繋がっているのかもしれないと思ってね」
校長室から出てすぐのこと、校長先生に言われたとおり、カサエル先生の元へ行こうと足を踏み出した時だった。
校長室から離れようとした私たちを、引き止めるようにして、校長先生が話し始めた。
「懐かしい……?」
同時に振り返った私とルキの声が重なった。
「そう。理由は分からないけれど、なんだか初めて会ったような気がしないの。何度も会ったことがあるような、そんな気分になるの。だから私はあなたを、放っておけなかったのかもしれないわね」
校長先生とルキは、遠い親戚ということ?
その真相をすぐに解明することは出来ないけれど、校長先生は『少しでも記憶が戻ったら教えてちょうだいね』と笑った。
それともう校門の防衛魔法を破らないようにと、森の中には絶対に入らないようにとつけ加え、校長室の扉を中から静かに閉めた。
私とルキは誰ひとりとして人がいない長い廊下で、ふたりだけになった。
今はどのクラスも各教室で授業中のようで、普段は生徒の笑い声が響いている廊下も、今は静寂に包まれている。
「ルキ。これからは私じゃなくて、担任のカサエル先生や、男子寮の寮長が学校や寮のルールを教えてくれるからね。それでも分からないことがあったら、そのときは私を頼ってね!」