へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
純白の長袖カッターシャツに、黒い長ズボン。
足首まである黒いマントをひらひらさせながら、豪快に扉をスライドさせた彼の名前はライザ・マグダクトルだ。
「……どうしたの?ライザ」
「ん?なんだ?お前なんか万年最下位には教えてやらないっつーの」
相変わらず嫌な奴だ。
万年最下位って……。
そりゃあ私は、テストがある度に魔法の成績は26人中でいつも最下位だけれど。
それよりもいつになったら、万年最下位なんて呼び方、やめてくれるのだろう……。
ライザは先生の前では優秀な生徒を演じているけれど、こうして自習時間中に教室を出歩いたり、影でクラスメイトに悪態をついたり。
先生の目が届かないところでは、やりたい放題の最低な男だ。
ムカつくけれど、ライザには何も言えない。
だって彼は、魔法の技術が校内一長けていると言われているから。
何かにつけては魔法を駆使して、威してきたりするから怖くて逆らえない。
つまりライザは、全生徒を牛耳っているリーダーだ。
誰もライザには逆らえないし、悪いことをしていても注意すらできず、見てみないふりをするしかないのだ。
「さっき廊下で、カサエル先生が銀髪の男と一緒に歩いてるところを見たんだよ!」