へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
光を落とした暗い部屋の中。
テーブルランプの明りを頼りに、勉強机に向いながら『魔法』というタイトルの分厚い教科書をぱらりとめくった。
「メイベル、まだ勉強してるの…?」
明日にフォルスティア学園で、出題されるテスト勉強を寮の2人部屋で夜な夜なしている最中。
テーブルに置いたロウソクの明りがまずかったのか、ルームメイトであり幼い頃からの親友をどうやら起こしてしまったみたい…。
「あ、ごめんね。眩しかったかな、もう辞めるから」
『魔獣について』
と書かれたページを閉じると、ゆらゆら揺れる火を吹き消した。
いそいそと2段ベッドの下段に潜り込み寝る体制に入ると、上からまた高い声が雨のように降ってくる。
「もう0時30分だよ…?早く寝なきゃ」
「えっ、もうそんな時間?」
夢中で教科書を捲っていたから気付かなかった。
私は魔法使いの卵だというのに、魔法に対する知識と技術が人一倍乏しくて、成績はいつも学年で最下位なんだよね。
……いや、自慢じゃないけれど。