へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「ほら、早く座れよお前ら。早くしないとカサエル先生が来ちまうぞ。んでさっさと教科書を開いて自習するふりでもしとけっ」
ライザの一声で、賑やかだった教室から嘘のように私語が消えた。
クラスメイトたちは、慌ただしくそれぞれの席に戻った。
「うむ……私がいない間でも、皆しっかり自習をしていたようだな」
そんなタイミングで、教室に戻って来たカサエル先生。
私語のひとつもなく、真面目に自習に取り組んでいるクラスメイトたちを見て、感心しているようだった。
「はい、カサエル先生。言われたとおり、皆静かに自習していました」
「うむ、さすが私のクラスの生徒だ。報告ありがとう、マグダクトル」
ついさっきまで、ここは無法地帯だったのに…。
ライザなんてこっそり魔法も使ったのに、ちゃっかり褒められているし。
すっかり騙されてしまっているカサエル先生に、本当のことを教えてあげたい。
ライザの悪事を今すぐにでも暴いてやりたいけれど、きっとカサエル先生は私の主張を信じてくれないだろうな。
だってライザは、先生たちには真面目な生徒だと思われているのだから。
「いきなりで驚くかもしれないが、うちのクラスに転校生が来ることになった。今から皆に紹介しようと思う」