へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


四隅で向かい合って、何やら魔法の詠唱をしているふたりの男女は、深紅色のマントといい、背丈も小さいから初等部の子たちだ。



そして広い実技室のずっと奥側には、深緑色のマントを羽織った女子が6名ほどいて、魔法の教科書を片手に会話をしている。

マントの色が深緑だから、あの女子たちはきっと中等部の生徒たちだ。



そして中央付近を陣取っている2人の男子は、私と同じ黒いマントだから高等部の生徒。



「……って、ライザじゃん。ほんっと最悪…」



背中しか見えなかったからわからなかったけど、身長が高い黒髪の男が振り返った瞬間ライザと目が合った。



「あれ、なんだ万年最下位か。どうした、実技試験に向けて練習しにきたのか?」



人を小馬鹿にしたような目つきに、嘲るような笑い方。

相変わらず嫌味ばっかり。



「万年最下位って呼ばないでよ…」



腹立つけれど反論する勇気もないビビリな私には、小声で言い返すことが精一杯。

悔しい。

本当は『ちゃんと名前で呼んでくれる?』って言い返してやりたいのに。



「まぁまぁ、メイベルなんかほっといてさぁ。ライザ、さっきの魔法、どうやったかもっかい教えてくれよ」



ライザの隣に立っているのは、オレンジ色の短い髪の毛がくるくるカールしている、小太りのトールボット・リーガンだ。

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