へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
メイベル・パルディウス。
17歳の誕生日を迎えたばかりの私は、世界的に有名な学校、フォルスティア学園に通っている。
フォルスティア学園がどうして、世界的に有名なのかというと。
それは生まれながらに魔力を持った子供だけが、通うことができる世界で唯一の魔法使いの専門学校だからなんだ。
私も、生まれながらに魔力を持った子供のうちのひとり。
この世には、生まれながらに魔力を持った人間。
そして魔力を持たない人間との、ふた通りのパターンがあって。
広い世界の大半を占めているのが、後者の魔力を持たない人間ということ。
そんな中で魔力を持って生まれた私は、6歳になり、ほんのひと握りの人しか通えないフォルスティア学園に入学した。
魔力を持つ者は学校で、魔法の正しい知識と技術を学ばなきゃいけないっていう法律があるんだって。
なぜなら魔法はときに人を殺めることができる、恐ろしい力でもあるからだって国のお偉いさんがいっていた。
「ごめん。やっぱり心配だからもうちょっと勉強していい?」
目を瞑って寝ようと思ったけれど、また最下位だったらどうしよう。
そんな不安がどうしても拭えなくて、ベッドに預けていた身体を起こした。
「まぁ私はぜんぜん構わないけど……無理はしないようにね」
「うん、ありがとう」
ベッドから降りるとまた椅子に座り直し、勉強机の上に置いたロウソクに明かりを灯すと、分厚い本を広げた。