へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
私はクラスメイトたちと揃って、カサエル先生と一緒に第一実技室の壁際でライザの試験の様子を見ることにした。
「では、はじめるぞ」
カサエル先生がトランクケースから5羽の赤い鳥を片手で鷲掴んで取り出すと、宙に放り投げた。
すると赤い鳥は小さな羽を素早くばたつかせ、実技室の四方八方へと飛び回る。
小鳥の動きが目で追えないほど早い……。
10メートルはあろう天井の付近まで飛び上がる鳥や、逆に床すれすれを低空飛行する鳥。
飛び方だって様々だから、それらをすべて5分以内に落とさなければいけないだなんて。
やっぱりこんなのムリ‼
クラスメイトたちが言葉を失う中でも、中央に立つライザだけは違った。
想像を超える鳥の素早さに誰もが自信喪失しているというのに、ライザだけはニンマリと笑みを浮かべている。
「さすがライザだな。難易度の高い試験でも、まだ笑っていられる余裕があるなんてな」
いつの間にか隣に座っていたトールボットが、感心したように呟いた。
そんなトールボットに続き、ライザを見つめる瞳を輝かせたのはエイミーだ。
「うーん……こうやって見ると、やっぱりライザってかっこいいのよねぇ。出来た男っていうか?やば、惚れそう」
出来た男、ねぇ。
確かに難しい試験だっていうのに顔色のひとつも変えず、冷静に魔法の詠唱をはじめるあたり、確かにすごいなって思うけど。
「ねぇエイミー。ライザの性格が最低最悪ってことはよく知ってるよね?」
「あぁ、ちょっとくらい嫌な奴でもいいの。かっこいいよければそれだけで満足なの、私」
いや、ちょっとくらい嫌な奴、なんてレベルではないでしょ。
もはや悪魔かって思うくらい、最低最悪に嫌な奴でしょ。