へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「うわぁぁぁんっ……」
「もうメイベルったら、いつまで泣くつもり?」
実技試験をなんとか終えた私は、体育の授業があるわけでもないのに体操着に着替え、エイミーと一緒に保健室にいた。
丸イスに座って泣くこと、かれこれ20分。
もうすぐ3時間目の数学が始まるというのに、実技試験の最中から休み時間に入った今まで、涙を止めることができないでいた。
「だって……だってライザに会いたくないっ…」
「同じクラスなんだから我慢するしかないでしょうがっ‼ほらっ、いい加減に教室に戻るよ」
「まだ服が乾いてないしっ‼やだっ!」
ことの発端は、1時間目に引き続き2時間目の実技試験。
ライザに続き、双子の妹のサビーナ、カーラ、エイミーと合格者が続々と現れたころ。
これまでに20人が試験を受けて、うち13人が合格をする中でいよいよ私の番が回ってきた。
『おいトールボット、これからおもしろいもんが見られるぞ』
『はははっ、だな、ライザ。なんてったってメイベルは万年最下位だもんな』
私が実技室の中央に立つと、ライザとトールボットがけらけらと笑いはじめる。
そんな彼らを取り囲んでいるクラスメイトたちも、みんなニヤニヤしながら私を見てくる。
……嫌な感じ。
なにがなんでも絶対に合格して、ライザたちを見返してやるんだから。