へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
大丈夫、今回の実技試験は合格できるような気がする。
無事合格を果たしたエイミーが言うには、闇雲に小鳥を追い回すよりかは立ち位置を変えず、一箇所にポイントを絞った方がいいと教えてもらった。
いつでも魔法が繰り出せる状態でじっと待って、一箇所に絞ったポイントを小鳥が横切った瞬間に狙うんだって。
ルキにも頑張って、と声をかけてもらったことだし、このときの私は妙な自信に満ち溢れていた。
『ではパルディウス、はじめるぞ』
カサエル先生が赤い小鳥を放ったと同時に、カサエル先生の左手にあるストップウォッチが静かに押された。
よーし、やるぞ、やってやる。
小鳥の素早い動きにはもう目が慣れた。
それにどの小鳥たちも、天井付近にいる確率が高いということも、クラスメイトたちが試験を受ける様子を見て学んだ。
となれば、狙うポイントは天井の真ん中あたりにしよう。
『神より与えられし力よ、我が糧となれ。その力を今解放する』
集中、集中するんだ私。
右手を天井へ向けて、小鳥が手を向けている方角を通過した瞬間に、消防車のように勢いのある水を噴射させるんだ。
水を天井に向けて真っ直ぐ飛ばすだけ。
ただ水を真っ直ぐ出す飛ばすなんて、簡単なことだ。
時間なんて気にせず焦らずに、確実に1羽1羽撃ち落としていこう。
改めて気合いを入れ直したタイミングで、右手を向けている方角に1羽の小鳥が横切った。