告白はキミの背中に
「(私だって、すきだよ)」
気づくな、振り向くな。告白は今まで通りこの背中にぶつければいい。私の気持ちが疑いじゃなく、確信に変わったらきっと嶋田は私から離れていってしまう。
「(坂野さんと付き合うの?)」
嶋田が笑いかけてくれないのは嫌だ。嶋田が隣にいないのはつまらない。だから私は、今日も明日も嶋田の〝親友〟。
でも、この秘密の告白だけは許してよ。伝えない、ちゃんと〝親友〟でいるから。
「(すき。……だから、振り向いて)」
矛盾してるな、と自嘲したとき。目の前の黒髪がふわりと揺れて、気だるげなその背中が私を振り返った。
「なーこの問題の……三崎?」
見開いた嶋田の瞳が、夏の日差しを受けてキラキラと輝いている。その中に映るのは、情けなく顔を真っ赤にした私。
「だから、ずるいんだよ……っ」
「……は?」
「まえっ、向いて!」