告白はキミの背中に
ひらり。カーテンをひるがえして教室に舞い込んだ夏の風が、私の前でつまらなさそうに授業を受ける彼ーー嶋田の髪を揺らしてドキリとする。
さらさらの黒髪と、その下から覗く白い肌。
つい二日前に教室のクーラーが壊れてしまってみんな汗を吹き出しているというのに、嶋田のワイシャツは真っ白のままで、三限目の今になっても色ひとつ変えない。
今日が夏休み目前の真夏日だということを忘れてしまいそうになるほど嶋田は涼しげだ。
一体どんな体のつくりをしているんだろうか。もしかして人間じゃないのかもしれない。あ、雪男だったりして。嶋田は綺麗だし納得できるかもしれない。
暑さにやられて馬鹿みたいなことを考えていると、ふいに目の前の黒髪がひょいと持ち上げられた。
あらわになった襟足。涼しげだと思っていたそこにはじわりと汗が浮かんでいて、白いうなじに心なしか濡れた黒髪が数本張り付いていた。