告白はキミの背中に
▫︎


嶋田が告白された。


それ自体は別に珍しいことじゃない。珍しいのは、嶋田が告白の返事を保留にしていること。



嶋田だってフツウの男子高校生だ。彼女だってほしいだろう。


だけど中三のときに一度付き合った彼女を除いては、全員その場でバッサリと振っていたから油断していた。


告白の相手は、去年嶋田と同じクラスだった坂野さんという人。ぶっちゃけ恋愛感情はないけれど、話も合うし見た目もタイプだから付き合うなら全然アリだとか言っていた。


そういえば元カノもあんな感じだった気がする。黒髪ストレートのスレンダーで、控えめに笑ういかにも大和撫子って感じの美人。



「(……嶋田のバカ)」



話なら私のほうが合うのに、と嶋田の背中を見つめながら思う。見た目がああいうのだったら私も〝アリ〟の中に入れたんだろうか。


チビで寸胴、傷んで明るくなった癖っ毛。控えめになんて笑えないし、顔だって美人と言うにはなかなか苦しい。大和撫子なんて条件がついたらさらに程遠い。
< 9 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop