【短編】先生が見上げた空には。
先生のことが知りたくて。


青空に煙が溶け込んでいくのが見えた。


先生が屋上にいる証拠だ。


私は屋上へ続く階段をダッシュで駆け上がり、勢いよくドアを開けた。


「先生!」


無造作に整えられた髪型、先生とは思えないスーツの着こなし方。


私の大好きな後ろ姿が、屋上の柵のところでタバコを吸っている。


先生はゆっくり振り返ったが、その表情は呆れていた。



「また美咲(みさき)かよ」


「窓から見えたんだもん。先生のタバコの煙が!」


「すげーな本当…尊敬するよ」


鼻で笑いながら右手に持っているタバコをふかした。


煙は一瞬にして風に乗って飛んでいく。


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