【短編】先生が見上げた空には。
先生のことが知りたくて。
青空に煙が溶け込んでいくのが見えた。
先生が屋上にいる証拠だ。
私は屋上へ続く階段をダッシュで駆け上がり、勢いよくドアを開けた。
「先生!」
無造作に整えられた髪型、先生とは思えないスーツの着こなし方。
私の大好きな後ろ姿が、屋上の柵のところでタバコを吸っている。
先生はゆっくり振り返ったが、その表情は呆れていた。
「また美咲(みさき)かよ」
「窓から見えたんだもん。先生のタバコの煙が!」
「すげーな本当…尊敬するよ」
鼻で笑いながら右手に持っているタバコをふかした。
煙は一瞬にして風に乗って飛んでいく。
< 1 / 15 >