【短編】先生が見上げた空には。
そういえば…最近窓の外を見ていることがなくなった気がする。
いつもこっちを見ていたような。
いや…でもそれは私の都合良い考えだ。
先生の心の中にはいつもあの人がいるはずなんだから。
思い出したら泣けてきて…
「は?泣いてんの!?」
慌てふためく先生を前に、涙が止まらなくなった。
慌てる先生なんて見たことなかったから、ちゃんと見たかったのに、今は涙で見れない。
どうしよ、止まんない……
「ちょっと来いよ」
先生が私の手を掴み、廊下を歩き出す。
休み時間だから周りには生徒が沢山いるのに。
でも先生は堂々としている。
連れてこられた場所は、屋上だった。
いつも先生を追いかけてきていた場所。
先生に連れてきてもらえる日が来るなんて、想像もしていなかった。