【短編】先生が見上げた空には。
「ハッキリ言うなアホ」
「アハハっ。で……ヤンキーだったのになんで先生に?」
笑顔が消え、空を見上げた。
先生が空を見る時はどこか寂しそうだから嫌だった。
「親が俺を更生させようと家庭教師雇ってさ。その教師のおかげで今の俺がいるって感じだな」
ドクンと、心臓が揺れ動く。
その教師って……
「そうなんだ…その先生は女?好きになっちゃった…とか?」
それに対して先生の笑顔はなくて。
せめて『好きとかじゃねーし』とか笑って言ってくれたらよかったのに。
それじゃまるで……
「ああ、付き合ってた」
聞きたくない答えだった。
私から聞いたくせに、耳を塞ぎたくなった。
「当時あっちは大学生だったけどな。俺を更生させようと必死で。そいつを見てたら教師っていうのもいーもんだなって」
すごく良い人で、大好きだったんだなっていうのが伝わってくる。