高嶺の花君(はなぎみ)
先生のことは入学当初から知っていた。

体育教師、サッカー部顧問。
熱血で生徒思いの先生は全校生徒から絶大な人気を集めてるし、その端正な顔立ちと明るい性格で学校一モテるとも聞いたことがある。



だけど、花好きの私が気になったのは先生の名前だ。

高嶺ってなかなか名前では珍しい。

すぐ花に関連付けて考えちゃうのが私の悪い癖なのかもしれないけど、高嶺と聞くと高嶺撫子っていうナデシコ科の紫色の花を思い出す。

花言葉は【純愛】【無邪気】。

もし、その花から取った名前だったら、凄く素敵だと思った。

特に無邪気っていうのが先生には合ってる。
昼休みに生徒と戯れたりスポーツをする姿が、まるで少年のように無邪気に見えたから。



一目惚れしたあの日から、先生は度々声を掛けてくれるようになった。

いつも優しいけど、花を見る時の顔はいつも以上に優しく和らぐ。

花に話し掛ける姿なんて、悶絶するぐらい素敵だ。


私だけが知ってる先生の顔。

この時間は、私の宝物になった。



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