高嶺の花君(はなぎみ)
「ーーーだな」



先生の横顔に見惚れていると、先生が急に花から私の方に顔を振り向かせて言った。

「ふぇ…っ」と変な声が漏れる。
そんな私に先生が目を丸くすると、ほんの数秒の沈黙の後「ぷっ」と噴き出して笑った。



「驚きすぎ。人の話を聞かないでぼーっとしてたのか?」

「う…ごめんなさい……」

「バカ、冗談だよ。すぐ謝るなって。それともマジで俺の話聞いてなかった?」



ハイ。全く聞いておりませんでした。
先生の横顔が素敵過ぎて、見惚れていました。

なんて、正直に言えるはずがない。

それが言えるなら、とっくに告白でも何でもしてる。



「古澤がぼーっとするなんて珍しいな。暑さにやられたか?」



そう言って、先生は私の額に手を当てた。

突然の先生の思い掛けない行動と温もりに身体が硬直してしまう。

どうやって息するんだっけ……

それさえもわからなくなるぐらい頭が混乱してる。




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