ヒロインのあの子と脇役の私
ーコンコン
「ん…?」
目を覚ましカーテンを開けると、そこには窓から身を出し私の窓をノックする凌の姿があった。
外はすっかり真っ暗になっていて結構な時間寝ていたようだ。
「起こして悪りぃ」
窓を開けると一言目にそう言われる。
「何の用?」
冷たく当たってしまう私が嫌になる。
きっと凌はさっきのことを気にして声をかけてくれたんだろう。
「今日の。
雄輝がからかいすぎたって謝ってたぞ」
「そっか」
「まぁ…心配すんな!
俺はお前の一番の親友だから、どこにも行かねぇよ。」
いつも私の考えてくれることを察して言葉をかけてくれる凌。
多分今回も気づかれたんだと思う。
そういうとこ、昔から変わらないね。
「うん。ありがとう」
「麻宏ちゃんと俺のこと複雑だろうけど応援してくれるか?」
「応援してるよ?」
私の言葉を聞くと嬉しそうに笑う凌。
応援してるんだ。分かってるの。
「お前のそういうとこ好きだよ。
じゃ、明日も皆で帰ろうな!」
好きって…。
簡単に言わないでよ。
「凌のバカ」
閉じられた窓に向けて小さく呟いた。