ヒロインのあの子と脇役の私
脇役は脇役らしく
「で?私ついて来た意味あんのこれ?」
目の前を楽しそうに手を繋ぎながら水槽を見つめる2人を見ながら雄輝に問いかける。
「麻宏に頼まれたからしゃーねぇだろ。」
「あぁはいはい。
凌といい、あんたといいお姫様には甘々ですね。」
飲み物を買いに行くと伝え私は自動販売機の前まで早々と足を向けた。
なにが楽しくて好きな人がデレデレしてるとこ見なきゃいけないのよ。
「1人でどうしたの?
暇なら俺らと一緒に回ろ?」
後ろを向くとチャラい男が並んで立っていた。
ナンパというもの?
「水族館でナンパってすごい趣味してますね。」
「えぇ、いいじゃん?
見た所男いないみたいだし?」
馴れ馴れしく私の肩に腕を回すチャラ男。
でもまぁ、凌がデレデレしてる所をずっと見ているよりチャラ男と楽しく回ってるほうがいいかな?とか心で少しだけ思ってしまった。
心の中で小さなため息をついたと同時に右手を誰かに強く引かれた。
「真尋なにやつてんだよ。
こいつ俺のツレなんで」
そうチャラ男に告げると私の腕を離さないまま大きい水槽の前まで連れて行かれた。
こうやって、勘違いさせるようなことをする凌も悪いよね?
「凌離して。」
無表情でいうと、一緒驚いた顔をした後私の腕を離してくれた。
少し奥に行ったところに春崎さんと雄輝の姿があった。