短編:雨上がりの虹を見るために
 向けられる好意が親友に対する優しさだとしても、私は信が自分を見てくれることが嬉しいんだ。


「ねえ、信」


 気づいたら口が勝手に動いていた。


「好きだよ」


「え……?」


 ああ、もうだめだ。止まらないし止められない。


「信のことが、好き」

 いきなり、何言ってんだって思うよね……。

 失恋して、いきなり好きとか。


「優しくしてくれるのが、嬉しくて。ずっと意識してたのに気づかなくて……っ! でも、好き、好きなんだよ……っ!」

 壊れたように好きを言い続ける私に聞こえたのは、信の出した答えだった。
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