【BL】お荷物くんの奮闘記
 という設定の夢なんだ、とは流石に蛇足なので口にはしない。こちらの話を聞いて、村長が目を見開いた。


「なんと……では、ついに救世主様が……」


「救世主?」


「この山にひっそりと暮らしていた種族が長い間守ってきた、古い言い伝えにございます。異世界からやってきた勇者がその時代の魔王を打ち滅ぼし、弱き民を救いに導くと」


 わーお。いきなりRPGの王道に路線変更来た。


「……それ、まさかオレだと?」


「勇者を判断するための道具もまた、その種族が受け継いで管理をしております。一度拝見されてはいかがでしょう」


「あー、はい」


 それ確実に剣だろ。勇者の剣。聖なる台座とかに刺さってるやつ。抜かなきゃいけないやつ。


 こってこてのRPGを生成し始めた自分の脳みそに呆れつつ、その種族の住む場所を訊ねる。鉱山の奥、実力者でなければたどり着けない深層に暮らしているらしい。


「じゃあ、その鉱山についても詳しく話を聞いてもいいか」


「鉱山まででしたら、こちらでご案内が可能です。ただ……」


 わけありな顔で、村長が目を伏せる。これあれだ、最初の町で魔物退治とか頼まれるパターンだ。
< 11 / 394 >

この作品をシェア

pagetop