【BL】お荷物くんの奮闘記
 答えのすぐ近くまで来ているという実感はある。それだけに、あと少しで手が届かないのがもどかしい。


 いくつかの可能性が浮かんでくるが、どれも決定的な情報が足りない。溜め息をついて部屋に戻ると、リュータはベッドの縁に腰掛けて窓の方を見つめていた。


「リュータ、風呂入ってこいよ」


「……あ、うん」


 自分が部屋に戻ったのにも気付かなかったのか、声を掛けられてようやく彼が振り返る。


「ほら寝ないで待っててやるから、さっさと行ってこい」


「……ユウジ」


「なんだ?」


「話が、したいんだ。だから絶対、ここで待っててね」


「お、おう」


 どうした改まって、と茶化すのも可哀想になるほど深刻そうだ。


 しかし思えば、中央都市でヴェルターと会ってから彼とゆっくり話す時間はなかった。何を思いつめているのかは分からないが、彼の不安が取り除かれればこちらからも聞いてみたい話もある。

遅くなっても良いようにと、彼を待つ時間で明日の荷造りを終わらせておくことにした。

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