【BL】お荷物くんの奮闘記
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自分が彼に出会ったのは、“彼の勇者”が不慮の事故で命を落とした後だった。
世界が危機に瀕した際、力を必要とする者の前に現れて助力することが自分達、天使の役目だと母なる存在『マム』より教えられていたから、その時もただ事務的に彼の前に降り立って、『勇者代行』を請け負ったのだ。
自分が天使であるということは、そういえば初めは伝えていなかったように思う。
「おまえ、名前は?」
「おれは……ウリエルって呼ばれるよ。よろしくね。ええと」
「ユウだ。よろしくな、二代目勇者様」
彼は勇者パーティの魔法使いだった。勇者の死を悼むこともせずあっけなく二代目として新しい勇者を受け入れた彼のことを、他のパーティメンバーは不謹慎だの冷たいだのと口々に責めていたが、彼はメンバーの心情も理解していたのだろう。
へらへらと笑って批難を受けながら、それでも今為すべきことは魔王の討伐だと口にした。
世界の危機に合わせてマムの力により生み落とされた自分はその時、人と同じく十代の子供そのものだった。大人の多かったメンバーはその見た目のためか警戒もすぐに解き、二代目勇者という呼び方は世間にも広がることになる。