【BL】お荷物くんの奮闘記

 打倒魔王の旅は順調だった。

魔王の力は強大で、パーティメンバー全員がそれぞれのクラスの究極技を習得していないと戦いにならないだろうと首都の王様から話を聞き、スキル習得のために遠まわりをしながらの旅ではあったけれど、冒険に行き詰ることはなく、あっという間に究極技習得のために周らなければならない神殿は残り二箇所になった。


 輝炎の神殿と水雹の神殿、それぞれの属性からして、二代目勇者である自分と、氷魔法の得意なユウが試練を受けるのだろうと推測できる。


 現在地から一番近いのは輝炎の神殿で、試練のために神殿の入り口を潜るとそこは見たこともない文字列の飛び交う魔境だった。


「な、なにあれ」


「異世界の言葉かしら。元々、この神殿はダイゴ――最初の勇者が召喚されたと同時に地表に現れたものらしいし。異世界の人間に向けた挑戦状だった可能性も高いわ」


 仲間の僧侶が後ろで考え込む。しかし文字列はひたすら列を成して奥への扉の前に立ち塞がり、行く手を阻んでいる。
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