【BL】お荷物くんの奮闘記
 彼の転生体を探した。世界中を探して、見つからなくて、別の世界に降りて。その繰り返しでやっと出会えたユウは、自分よりずっと小さな子供だった。


「ねえ、君の名前は?」


 公園の広場で赤いボールを蹴っていた彼に、膝を折って話しかける。目線があの頃と逆になってしまったのが、なんだかおかしかった。


「おれ? わたなべゆうじ。すぐそこのようちえん、ももぐみ」


 彼と出会った頃の自分よりももっと小さな子供が、彼と同じ目で、こちらの問いかけに答えてくれる。
 話すの、いつぶりだろう。そう思うと目と鼻の奥がつんとして、視界が滲みそうになった。


「なくなよ、おとこだろ。どうかしたか?」


「ごめん。……またなって、別れたきり、会えなくなった人がいて。その人のこと、思い出してたんだ」


「にいちゃんまいご? こうばんいく?」


 迷子、か。そうかもしれないなと思いながら、彼の心配そうな声に首を振る。子供は大人の真似をしてか大げさな溜め息をついて、ボールを足元に転がした。


「そのひと、またな、っていったんだろ。それは、またあおうっていみだぜ」


 大丈夫、絶対また会えるから。彼が笑って、背伸びをする。それからあの日の彼と同じように、頭を撫でてくれた。
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