【BL】お荷物くんの奮闘記
明らかに何者かの罠にはまっている。スマホの画面を再び点灯させフィールドマップを見ると、先程まで表示されていた場所から東に大きく離れた地点に現在位置マークが移動していた。
周囲にリュータやヴェルターが見あたらず、自分の現在位置が大幅に異なっていることから考えても、自分だけ別の場所に移されたと考えた方がいいだろう。
「師匠、出てこれるか?」
「おー、また厄介ごとに恵まれたか」
「それ恵まれたって言わない」
呼びかけると、腕輪からは普段通り師匠が顔を出した。ひとまず完全に一人にはならなかったことに安堵する。
「リュータたちと離されちまったみたいなんだけど、師匠これ何の魔法か分かるかい?」
知識の浅い自分より彼に訊ねた方が早い。師匠はしばし考える仕草を見せて、これは迷宮結界の魔法だなと呟いた。
「どうにかして破れねえかな」
「できないわけじゃないが、おまえさんが無理矢理破るには魔力キャパが足りねえな」
回復薬使う前にまた倒れることになるぞ、と続けられる。罠を打開したところにリュータたちが居れば倒れても問題ないだろうが、スマホのフィールドマップ上ではかなり遠くに現在地が表示されている以上、結界の先に仲間が居るとは思わない方がよさそうである。
むしろ、結界から出たら敵の包囲網の中でした、の可能性の方が高い。
「他に方法は?」
「単純。術者を追って妨害する」
「だろうと思ったよ……」
「オレ様が特定してやるから戦闘になったら頑張れよ、これが使えるってことは相手はかなりの実力者だ」