【BL】お荷物くんの奮闘記
 気楽な声で言われてしまったが、師匠にそう言わしめるだけの相手に、未だ一人で強敵と戦ったことのない自分が太刀打ちできるだろうか。

気を引き締めて行こう、というところで、ふと彼の様子が気になった。


 なんか今日はやけに師匠が優しい気がする。


 普段の彼であれば、「探知方法は教えてやる。あとは自分でなんとかしろ」とか言ってくるはずだ。
「……おまえ今失礼なこと考えてるだろ」


「えっあいや別に」


 不信感が表情に出ていたのか、指摘されて思わず声が裏返る。


「探知はな、まあ色々方法はあるが、オレがやる方が効率がいいんだ。魔力も要らねえ。構成を見るだけで、糸の先端を見つけるみたいに術者まで辿り着ける」


「オレにもできる?」


「無理だな。このやり方は魔法の考案者にしか使えねえ」


「……まさか師匠」


「ああ、これはオレ様の開発した魔法だからな」


 なにやってんだよ師匠。腕輪の上で自慢げにふんぞり返る小さい先生に、溜め息がこぼれる。


「この魔法を選んだってことは、おまえさんだけを狙って仲間と隔離したいんだろうよ。術者に心当たりは?」
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