【BL】お荷物くんの奮闘記
「そりゃそうだろ。大賢者の肩書きはまだ誰にも譲ってねえ、オレ様の代名詞だからな」


「へー……、……え、まじ?」


「……話半分に聞いてたなてめー」


 何も聞いていなかったというわけではないが、どうにも胡散臭さが拭えないこの小さな師匠の言動は魔法講座の際を除いて大ボラかだいぶ誇張した話として頭にとどめているのだ。それを一般的には話半分と言うのかもしれないが。


「オリジナルで魔法を作れんのは大賢者だけだ。この世界には存在しない理を生み出し可能性を創造する、それがオレなんだよ」


 なにやらものすごくチートなお人だったらしい。さすがは勇者の剣と一緒に安置されていた腕輪の住民である。


「喜べ。おまえさんは大賢者様に師事して、直々にオリジナルスペルを教わってきてんだぜ」


 そこまで聞いて、なんとなくその言葉に引っかかる。


「敵は師匠のオリジナルスペルでこの迷いの森を作ってて、大賢者を信仰してて……?」


「オリジナルスペルは基本公開してねえし、信仰対象はまあ、オレ様だろうな」


 大賢者のオリジナルスペル。大賢者だけが知りうるオリジナルの魔法を。


 うん?


「……あれ、この状況ほぼ師匠のせいじゃね」
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