【BL】お荷物くんの奮闘記
 道中戦が無いのにも助けられながら、先ほどのボス部屋以外のフロアはほぼ全てチェックすることができた。残るひとつの部屋が目の前である。この奥に山を抜ける道があって、そこが件の種族の集落になっているはずだ。


 扉は同じく加圧式スイッチで守られており、先ほどよりも少々仕組みが複雑になっていたが解けないほどではなかった。


 ゆっくりと開いた扉を潜る。そこに居たのは、巨大な骸骨の飛竜だった。


「あ」


 これ確実にさっきの部屋のボスより強い。どう考えても裏ボスだ。初期に来るべきではない階層まで踏み込んでしまっていたことに気付き、血の気が引く。


 部屋への侵入者に、骨の飛竜が咆哮を上げる。声帯どうなってんだという突っ込みはさておき、ここにきて絶体絶命である。扉は開いたまま、閉じ込められたわけではない。しかしフロアから出たところで追いかけてきそうな勢いで興奮状態にある飛竜から逃れられる気はしない。


 裏ボス戦に丸腰レベル1同然の自分が挑んで勝てるはずがない。飛竜の尾がこちらに振り上げられ、こりゃ死んだなと諦めかけた瞬間、


「ユウジ!」


 背後から声が聞こえた。振り返る前に脇をすり抜けて、小さい影が飛竜の尾をはね除ける。


「よかった、間に合って……怪我、無い?」
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