【BL】お荷物くんの奮闘記
そういえば男の名前を聞いていないが、師匠と彼が知り合いだったなら自分は彼について知っていないとまずい。この場で名前を尋ねるより、周囲の人間が彼を呼ぶのを注意深くチェックしておくか、一時でも一人になった際に師匠を呼び出して確認する方がいいだろう。
岩肌のむき出しになった山道をしばし歩いたかと思うと、男は岩壁に向かって手を突っ込んだ。
左手はするりと岩の中に溶ける。結界の時と同じく、入り口がカムフラージュされているということか。
「こちらです」
男に案内されるまま、通過できるようになっている岩の中に入る。中は洞窟ではなく、現代的な作りに近い構造になっていた。特撮なんかで昔見かけたような秘密結社風だ。
「いつかお戻りいただいた時のためにと貴方のお部屋も用意してあります。お疲れでしょうから、本日はお休みください。皆へは明日まで待つようにと伝えておきましょう」
まるで自分が悪の結社のボスにでもなったかのような気分だ。できるなら長居はしたくないが、一人になれるのはありがたい。この状況を上手く利用すれば、当初の目的であった情報収集も容易に行えそうである。
入り口から伸びていた直線の通路を進む。突き当たりの両脇に魔法陣が配置されていた。部屋まで案内をしてくれるらしい男が、右の魔法陣の上に乗る。続けて魔法陣の内側に足を踏み入れると、自分が習得している脱出魔法と同じ光が彼と自分を包み込んだ。
岩肌のむき出しになった山道をしばし歩いたかと思うと、男は岩壁に向かって手を突っ込んだ。
左手はするりと岩の中に溶ける。結界の時と同じく、入り口がカムフラージュされているということか。
「こちらです」
男に案内されるまま、通過できるようになっている岩の中に入る。中は洞窟ではなく、現代的な作りに近い構造になっていた。特撮なんかで昔見かけたような秘密結社風だ。
「いつかお戻りいただいた時のためにと貴方のお部屋も用意してあります。お疲れでしょうから、本日はお休みください。皆へは明日まで待つようにと伝えておきましょう」
まるで自分が悪の結社のボスにでもなったかのような気分だ。できるなら長居はしたくないが、一人になれるのはありがたい。この状況を上手く利用すれば、当初の目的であった情報収集も容易に行えそうである。
入り口から伸びていた直線の通路を進む。突き当たりの両脇に魔法陣が配置されていた。部屋まで案内をしてくれるらしい男が、右の魔法陣の上に乗る。続けて魔法陣の内側に足を踏み入れると、自分が習得している脱出魔法と同じ光が彼と自分を包み込んだ。