【BL】お荷物くんの奮闘記
階段やエレベーターではなく、魔法陣を使って階層を移動するようだ。同じように三度ほど魔法陣を潜ってようやく、魔法陣のないフロアに行き着いた。
戻りのための魔法陣しかないことを考えると、フロア入り口のすぐ正面にあるやたらめったら豪華な扉の先が「大賢者」のために用意された部屋なのだろう。
「このフロアはお好きなようにご利用ください。もちろん、拠点自体の構造や外観もお気に召さなければ改修が可能です」
「いや、今はいいよ。ありがとう」
「それでは、私はこれで。何かございましたらいつでもお申し付けください」
男が魔法陣を使って上階へ消える。その背中を見送って、目の前に輝く悪趣味なほど豪華な扉に触れた。
自動ドアというより幽霊屋敷の入り口のように、ゆっくりと扉が開く。魔法で動かされているのだろう、部屋の中はお高そうなホテルっぽい見た目――ではなく、まるで図書館だった。
寝台はある。椅子と机もある。ただしそれ以外のスペースは全て本のために使いましたと言わんばかりの一面の本棚、本棚、棚に入りきらず箱にまで詰められた本の山。中に入って見てみると、どうやらこの本の山はほとんど魔法に関する書籍のようだった。
魔力と命の相互関係。魔王による祝福と魔法。タイトルをざっと見ても、そこらの町の本屋や図書館なんかよりずっと自分の知りたい内容に近い。
戻りのための魔法陣しかないことを考えると、フロア入り口のすぐ正面にあるやたらめったら豪華な扉の先が「大賢者」のために用意された部屋なのだろう。
「このフロアはお好きなようにご利用ください。もちろん、拠点自体の構造や外観もお気に召さなければ改修が可能です」
「いや、今はいいよ。ありがとう」
「それでは、私はこれで。何かございましたらいつでもお申し付けください」
男が魔法陣を使って上階へ消える。その背中を見送って、目の前に輝く悪趣味なほど豪華な扉に触れた。
自動ドアというより幽霊屋敷の入り口のように、ゆっくりと扉が開く。魔法で動かされているのだろう、部屋の中はお高そうなホテルっぽい見た目――ではなく、まるで図書館だった。
寝台はある。椅子と机もある。ただしそれ以外のスペースは全て本のために使いましたと言わんばかりの一面の本棚、本棚、棚に入りきらず箱にまで詰められた本の山。中に入って見てみると、どうやらこの本の山はほとんど魔法に関する書籍のようだった。
魔力と命の相互関係。魔王による祝福と魔法。タイトルをざっと見ても、そこらの町の本屋や図書館なんかよりずっと自分の知りたい内容に近い。