【BL】お荷物くんの奮闘記
 大学に入って時間も融通きくようになったことだし、都合はおまえに合わせてやるよ。


 そんなことを言って、受験生である四つ年下の幼馴染が指定してきた日に食事を奢る。そしてゲーセンに連れ回して、家に帰す。彼と同じ小学校に通っていた頃はほとんど毎日一緒に居たが、彼よりも年上の自分は中学高校と綺麗にすれ違い続け、月に2、3日遊べればいい程度だった。


 今年中三になる年下の彼、天城竜太は昔から運動能力と反射神経に優れていた。おまえどこの戦場からやってきたんだというほどである。シューティング系はどのゲーセンに行っても店の最高記録を塗り替えて行くし、夏祭りで千円持たせると射的や輪投げに金魚すくい諸々で大量の獲物を抱えて戻ってくる。


 そうしてじっとこちらを上目遣いに見つめてきたら、すげえなと褒めてやるのだ。自分の才能に興味の無い彼はそこでやっと誇らしげに笑みを浮かべる。かわいい弟分なのである。


 そのかわいいリュータが、行方不明だ。


「……なんだこれ」


 だだっ広い草原の中心でぽつんと立ち尽くす。もしかしなくても、行方不明は自分の方である。


 オレ何かしたっけ。
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