【BL】お荷物くんの奮闘記
 中学の学ランそのままのリュータが、ポケットからスマホを取り出した。


「いや、おれのには何も……っていうか、電源自体入んない」


「バッテリー切れか?」


「ううん、昼休みに学校出た時は電池まだ結構……」


 彼の手からスマホを奪い取って、ボタンを長押ししてみる。確かにいつまで経っても電源は入らない。


「あー、ガラケーならこういう時バッテリー交換して試してみれるんだけどなあ」


「あはは。でももうユウジと離れるつもりないから、おれ別に見れなくてもいいや」


「そうか?」


 彼が穏やかに笑う。今でこそがきんちょの風貌をしているが、リュータは間違いなく将来イケメンになるだろう外見をしている。女ウケしそうな感じだ。とはいえ、自分からすれば懐いてくる近所の犬にしか見えない。


「けどマジ助かったぜ。夢とはいえ骨の竜に食われるなんて想像もしたくねえわ」


「夢? ……ああ、ユウジ、この世界、夢じゃないよ」


「夢だろ、こんなアトラクション体験できる場所うちの近くねえじゃん」


「うーん……まあいいや。ユウジはおれが守るからね」


 何か言いたげだったリュータが、一度口を噤んで話を切り替えた。
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