【BL】お荷物くんの奮闘記
 言っても理解しないだろうリュータには「呪い」「異世界」「言語」に関する本があったら全部机に持ってこいとだけ告げて、選別は自分で行うことにした。


 黙々と選別作業を行いながら、夜が更けていく。リュータが四冊、該当の書物を持ってこちらにやってきた。


「ユウジ、おれが見てた棚はこれだけだったよ」


「サンキュ。眠いならもう寝てていいぞ、オレもてきとーに休む」


「うん。無理はしないでね」


 集めた本を机に置いて、リュータがベッドに潜り込む。言語を用いない魔法詠唱。呪術と魔法の対応関係。詠唱言語の地域差。会話で構成する魔術。

彼の持ってきた本をチェックしていくが、欲しい情報は見あたらなかった。会話で構成する魔術ってすげえな。今回の件には関係なさそうだが、東までの旅に持って行って自主勉強することにしよう。


 八割方探し終えて、めぼしい本をまとめると全部で五冊になった。加えて先ほどの自主勉強用の本、計六冊を持参することにする。


 オレも寝るか。ベッドの方を見ると、リュータが端に丸まって眠っていた。真ん中に大の字で寝られると困るが、それほど遠慮しなくても大人二人が余裕で就寝できる広さの寝台である。

こいつ他人と寝るのとか気にする奴だったかな。苦笑で隣に入って、明かりを消した。
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