【BL】お荷物くんの奮闘記
 うん、寝よう。再び横になろうとして、手元に先ほどまでなかったものが置いてあることに気がついた。ホットミルクのようだ。

乳製品の入手経路はおそらく、出発前に部下に今後の指示を出していたあの時だろう。こちらが眠れていないのを見て、わざわざ作ってくれたんだろうか。あの男が。


 ひょっとして、さっきの流れはこっちがメインか。これを渡すために敢えて? 取引の話無駄にして?

 いやいや無い。そうだとしてももうちょっと何かやりようがあるだろう。キスまでする必要はない。


 悪いやつじゃ、ないんだろうけど。真意の分からないまま口にしたホットミルクは、なんとなく甘かった。

 大賢者様、とノアの声で起こされてみれば既に朝食の用意がなされていた。

この中で一番頑丈――変則的な睡眠を取ってもある程度なら耐えられそうだ――と思われるリュータが中番で、最後をノアが担当していたのだから彼に起こされるのはまあわからなくもないが、まさか食事の用意まで済ませてあるとは思ってもいなかった。


 起きてみればヴェルターもリュータもとっくに起床していて、自分ばかり長時間爆睡していたらしい。
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