【BL】お荷物くんの奮闘記
 それはともかく、ここから先どうしたものか。呪いが有効になると言われても、実際にどういう特性がある呪術なのかが分からないことには対策のしようがない。知りすぎることで感染するという話だが、知らないことには解呪も不可能である。


 使いの者を見る限りでは、感染から発症まではタイムラグがあるように思える。そして発症してからもしばらくは普段通り動けるようだ。


 それなら最悪誰かが感染しても、致死レベルの侵食率になる前に解呪方法が見つかれば問題ない。


 荒事になった場合に戦力になる三人には詳細な調査は任せずに、リスクは基本自分が負うとして、自分が呪いによって動けなくなった際に備えて、師匠が単独行動できるような手段を調査と同時に考えておく必要がある。


「感染の条件も分かってるわけだし、進むだけならまあ問題ないだろ」


 腕輪に住んでいる師匠が元々まともな人間だったのは分かった。先日のアレで死に様まで把握してしまったわけだが、おかげで師匠の状態がファンタジーによくある思念体か、霊体のどちらかであることははっきりした。どちらにせよ、依り代を用意すればたとえ短時間でも動くことは可能なはずだ。


 野営跡の始末を終え、再び東国に向かって歩き出す。先頭を歩く使者は体調が優れなさそうだ。彼には申し訳ないが、東国の出発時に感染したと仮定しても少なくとも感染から四日は通常通り動けるという事実の証明になってくれている。
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