【BL】お荷物くんの奮闘記
陽が高く昇りそろそろ昼かという頃、前方には海に面した国が見えてきた。
「あれか」
堅牢に閉ざされた門が、部外者を拒む東国らしい。今回は使者に案内されての入国だから問題ないだろうが、そうでもなければ立ち入る機会はなかったかもしれない。
「結構早めに着いたね。おれ達でなんとかできるならいいんだけど……」
先を歩くリュータが言って振り返る。途端、潮の香りに満ちた晴天だったはずの視界が急に色をなくした。
「え?」
色を失った世界は、まるでテレビ画面の砂嵐のようにモノクロのノイズをまき散らして雑音をぶつけてくる。
砂嵐の粒子は目を凝らして見ると一つ一つが無数の文字列で、理由のない悪寒が背を掛け上がった。
心霊番組を見ている時の薄気味悪い恐怖に近い。一歩先に居たはずのリュータも、後ろを歩いていたヴェルター達も砂嵐に阻まれ見えなくなってしまっている。
「リュータ! ヴェルター! 聞こえるか!」
呪いの作動範囲って、こういうことを指していたのか。策もなしに入り込んでしまったのを今更後悔しても仕方ない。
耳障りな雑音の中で声を張り上げてみたが、自分の声さえ聞こえづらい現状、こちらの声が彼らに届いているとは思わない方が良いだろう。
すぐ近くにいたリュータだけでも見つけられないかと一歩踏み出したその時、視界が急に色を取り戻した。
「あれか」
堅牢に閉ざされた門が、部外者を拒む東国らしい。今回は使者に案内されての入国だから問題ないだろうが、そうでもなければ立ち入る機会はなかったかもしれない。
「結構早めに着いたね。おれ達でなんとかできるならいいんだけど……」
先を歩くリュータが言って振り返る。途端、潮の香りに満ちた晴天だったはずの視界が急に色をなくした。
「え?」
色を失った世界は、まるでテレビ画面の砂嵐のようにモノクロのノイズをまき散らして雑音をぶつけてくる。
砂嵐の粒子は目を凝らして見ると一つ一つが無数の文字列で、理由のない悪寒が背を掛け上がった。
心霊番組を見ている時の薄気味悪い恐怖に近い。一歩先に居たはずのリュータも、後ろを歩いていたヴェルター達も砂嵐に阻まれ見えなくなってしまっている。
「リュータ! ヴェルター! 聞こえるか!」
呪いの作動範囲って、こういうことを指していたのか。策もなしに入り込んでしまったのを今更後悔しても仕方ない。
耳障りな雑音の中で声を張り上げてみたが、自分の声さえ聞こえづらい現状、こちらの声が彼らに届いているとは思わない方が良いだろう。
すぐ近くにいたリュータだけでも見つけられないかと一歩踏み出したその時、視界が急に色を取り戻した。